無線LANに繋がらない時の対処方法

注意
本記事は法人企業向けの無線LAN環境でWi-Fiに接続できなくなった場合のケースを対象にしています。家庭向けの無線LANに関するトラブルシュートについてはコチラの記事をご参照ください。

無線LAN導入初期は特にトラブルが発生しなかったとしても、ある日を境に急に無線に繋がりにくくなるケースもあります。

その理由の1つとして無線LAN環境のトラフィック増が挙げられます。

無線LANのトラフィックが増える理由として、以下の例が考えられます。

  • 社内のレイアウト変更により、APに接続するクライアントが増えた
  • 社内で利用するアプリケーションの変更により、必要な帯域が増えた
  • スマートフォンやタブレット、IoTデバイスなど、一人当たりが持つ無線デバイスの数が増えた

 

例えば、1ユーザーあたりに割り当てる帯域を2Mbpsで想定したとします。

チャネルボンディングを使用していないアクセスポイントの場合、1アクセスポイントの実行速度はせいぜい約80~100Mbpsくらい。

つまり、40クライアントくらいまでがMAXです。(2Mbps*40=80Mbps)

しかし、社内で使用するアプリケーションが増え、1ユーザーあたりに必要な帯域が5Mbpsになってしまうと一気にキャパシティをオーバーしてしまいます。(5Mbps*40=200Mbps)

 

チャネル利用率を確認しよう

この様な状態を事前に察知するのに便利なチャネル利用率というツールがあります。

企業向けの無線LANコントローラにはだいたい実装されているツールです。

処理する無線トラフィックが増えると、それに応じてチャネル利用率も上昇します。一時的な上昇であれば、何ら問題はありません。

しかし、継続してチャネル利用率が高いままの状態だった場合、無線LAN環境全体が不安定になってしまっている可能性があります。

 

チャネル利用率が高いとどうなるか?

有線LANでは、ブロードキャストストームによって帯域を使い切ってしまい、通信が正常にできなくなる現象があります。

無線LANの場合は、ユニキャストフレームでも電波が届く範囲内では、ブロードキャストと同じように無線帯域を消費してしまいます。

また、無線LANは半二重通信のため、他の機器が無線電波を出している時は、自分が応答することができません。

無線帯域の使用率(チャネル利用率)が高くなり過ぎると、自分が送信する隙がなくなり、制御フレームのやりとりもままならない、ストームに似たような状況になってしまいます。

 

チャネル利用率が高くなる原因

チャネル利用率が高くなってしまう原因も様々です。

以下ではチャネル利用率が高くなる原因とその対応策について記します。

 

1ユーザーあたりのトラフィックが多い

単純に1ユーザーあたりのトラフィックが増えてしまった場合、その分、チャネル利用率も高くなります。

アンチウィルスのシグネチャアップデートやOSファームウェアのアップデートなど、一時的なチャネル利用率の上昇であれば特に問題ありません。

ユーザー単位にトラフィックシェーピングを設定することで一時的なパフォーマンスの低下を回避できる可能性があります。

 

他社のAPと干渉してしまっている

例えば、お隣の会社に設置されているアクセスポイントと同じチャネルを利用していて干渉が発生してしまうと、自社アクセスポイントのチャネル利用率も高くなってしまう可能性があります。

無線LANでは、アクセスポイントが異なったとしても同じ無線空間を共有することになります。

自社のアクセスポイントはそれほどトラフィックを使っていなくても、同じチャネルを使用している他のアクセスポイントでトラフィックが増えれば、自社のアクセスポイントのチャネル利用率も高くなってしまいます。

この様なケースでは、チャネルが干渉しないようにチャネルを変更することで、チャネル利用率が高い状態を回避できるようになります。

空いてるチャネルに変更しましょう。

 

高密度な環境になってしまっている

1ユーザーあたりのトラフィックはそれほど多くなかったとしても、アクセスポイントに接続するデバイスの数が多くなってくると、その分、総トラフィック量も増えてしまい、結果としてチャネル利用率が高くなる可能性があります。

この場合、チャネルボンディングを利用するという手もあります。しかし、利用するチャネルが倍になってしまいますので、干渉が発生しやすくなり、返って悪くなる可能性もあります。

それ以外の対応策としては、

無線アクセスポイントの増設を検討する。

・1アクセスポイントに接続できる台数の制限を行う。

・他のアクセスポイントに接続を誘導させるようにAP間でバランシングを行う。

などが検討されます。

 

SSIDの数が多すぎる

SSIDが増えるとその分、各SSIDで送信される管理パケットも増えます。それが原因で無線空間を管理パケットで埋め尽くしてしまい、チャネル利用率が定常的に高くなってしまう可能性があります。

法人向けのアクセスポイントであれば、複数のSSIDを設定することが出来ると思います。

SSID毎にビーコンパケットが1秒間に1回送信されます。そのパケットを受け取った無線クライアントは応答を返します。この様なパケットを管理パケットと呼びます。

SSIDの数が増えれば増えるほど、この管理パケットも倍々に増えてしまいます。

基本的にSSIDは最大でも5つまでが推奨とされます。SSIDは出来るだけ少なくするように設計しましょう。

 

ノイズにより再送が多発している

ノイズが発生しやすい環境ではデータフレームの損失が多くなり、ACKフレームが受信できなかった場合、データフレームを再送信します。再送信が多発するとそれに応じてチャネル利用率も高くなってしまう可能性があります。

無線LANの場合、データフレームを送信したら必ずACKフレームが返ってくるのを待ちます。

ノイズの影響により、無線LANフレームに他の電磁波が重なってフレームを破壊してしまうことで、ACKが返ってこなくなると、データフレームの再送を行います。それを何度も繰り返すことで結果としてチャネル利用率も激増してしまいます。

この様なケースでは、まずノイズの元なる原因を取り外すことで改善される可能性があります。

他にも、遠くからアクセスポイントに繋がっている無線クライアントも同様に、ノイズを受けやすくなっているため再送しまくっている、というケースも考えられます。

MEMO
各社アクセスポイント製品によっては、自身のチャネル以外の無線環境を把握するために専用のラジオを実装しているタイプもあります。CiscoのAironetではClean Air というスキャン専用のラジオを実装しています。この専用ラジオのおかげで、自身のチャネル以外の状況をリアルタイムで把握できるようになるため、より精度の高い無線環境の最適化が可能となります。

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